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入居あれこれ

会員ホームインタビュー記事「住宅型有料老人ホームなごみ」

第三者評価

住宅型有料老人ホーム なごみ

「普段の暮らしを守りながら、最期を看取る」 

有料老人ホームへの入居を検討されている皆様にあんしんできる住まい選びをしていただくため、協会で実施している【サービス第三者評価】を受審されたホームをご紹介します。

 

 サービス第三者評価とは、ホームが外部の専門家による評価を受けることで、自分たちでは見えなかった改善点に気付き、質の向上に励んでいただくことを目的としている本協会の事業です。詳細は「こちら」をクリックしてください。

※「住宅型有料老人ホーム なごみ」の評価結果は「こちら」からご覧いただけます。

今回ご紹介するのは2021年度にサービス第三者評価を受審された有料老人ホーム「住宅型有料老人ホーム なごみ(岩手県北上市黒沢尻)」です。 住宅型有料老人ホーム なごみは2015年に開設した全室個室(19室)の有料老人ホームです。主に要介護認定を受けており、主治医がいる方を入居の対象としておりますが、受け入れ先がないとういう方の入居のご相談も受けております。 住宅型有料老人ホーム なごみの施設長である佐藤さんにホームでの取り組みについてお話しをうかがいました。

※「住宅型有料老人ホームなごみ」佐藤施設長(2022年12月現在)

ー介護は日常生活を守ること

事務局:第三者評価の評価結果に「地域の要介護度の重い方(重度の利用者)の受け皿となっている」と記載がありますね。

佐藤(住宅型有料老人ホーム なごみ施設長。以下、佐藤):寝たきりや車いすの方の他にも、胃ろうや経鼻経管、在宅酸素などの医療的サポートが必要で、特別養護老人ホームやその他施設にもご入居できないという方も受け入れています。

事務局:もともと要介護度の重い方を受け入れることをコンセプトに施設を開設されたのでしょうか。

佐藤:後発的に始めた施設のため、他の施設と同じことをしても選んでもらえませんよね。そのため、この施設で何が出来るのかを考え、要介護度が重い方に入居いただくことに特化した施設を運営するために、他の施設などに受け入れてもらえない方を中心に入居ができるように募集を始めました。

事務局:こちらも評価結果にあるのですが、ご入居者の多くを施設で看取られているのでしょうか。

佐藤:そうですね。中には看取りを前提にご入居された方もいます。入居して3日後に亡くなられた方もいますし、余命1か月と宣告された方がホームに入居し3か月延命されたり、病院から施設に入居したことで症状が緩和されたのか1年入居された方もいました。必ずしも病院で過ごすことが良いとは限らないということですよね。

事務局:病院は治療を目的とする場所なので、どうしても治療だけになってしまいますからね。

佐藤:看護と介護で役割を分けた場合、「看護は命を守ること、介護は日常生活を守ること」だと思っています。例えば私の施設では、重度で声を発することができない入居者にも、職員みんなが声をかけ、返答がなくても会話をします。でもこれは普通のことで、職員は当たり前のことと思って行っています。声は出なくても、必ず何かで意思表示はしています。手や指や唇を動かすのも意思表示であり、必ずしも言葉を発することだけが意思表示ではないですよね。 職員に対しては、いろいろな入居者と接し、いろいろなコミュニケーション方法を学んでもらっています。19室という規模だからこそ、このように一人ひとりに寄り添った生活支援ができるのだと思っています。

ー普段の生活の流れの中で最期を迎えていただく

事務局:看取りの際、ご本人やご家族から何かしたいという希望をいただくこともあるのでしょうか。

佐藤:胃ろうの入居者からお団子を食べたいという希望をいただいたことがあります。リスクもありましたが、その方の希望を叶えることが大事と考え、隣に吸引機を準備してお団子を食べていただいたところ、結局1本食べられました。やっぱり好きな物は食べられるんですよね。 また、絶食で寝たきりの97歳の入居者の方が、最期はお米を食べたいというので、息子さんにおにぎりを用意してもらい、息子さんがいる時に召し上がっていただきました。すると、「ああ、美味しい」と満面の笑顔を見せてくれました。

事務局:最期に笑顔が見られるのはとても素敵ですよね。

佐藤:施設の取り組みとしては、そろそろお看取りが近いかなという入居者には、意識レベルが低くても、短時間でも、可能な限りお風呂に入っていただき、きれいになっていただいています。 また、デイサービスも運営しており、入居者以外で利用されている方もいます。その方たちも、他の施設では受け入れができないとされている方たちでした。でもご本人は外に出たいという希望があり、寝たきりの方であってもそこは叶えてあげたいと思っています。それに外に出ることで刺激を受けて、頑張っている方もいます。看取りにあたっては、たくさんの意見を大事にし、可能な限り、本人やご家族の意見を尊重しています。

事務局:お話を聞いていると、本当に日常の暮らしの中で最期を迎えられているんだなと感じました。

佐藤:ここは施設ではありますが、家と思って生活している方が多いですね。そのため、普段の生活の流れの中で最期を迎えられているのだと思います。施設というよりは、集合住宅としてとらえてもらえればいいのかなと思いますね。

ーたんの吸引は看護職員から必ず指導を受けてもらっています

事務局:入居者は主に病院からの紹介で入居されているのでしょうか。

佐藤:病院の先生の他にも、居宅介護支援事業所や、ソーシャルワーカーからの紹介が多いです。お家でご家族が介護しているけれど、ご家族が大変になり紹介いただくようなケースですね。他には、以前入居していた方のお話を聞き、紹介を受け、入居された方もいます。今年で開設8年目になりますが、訪問診療の先生からもここにくれば安心だよと言ってもらえ、ようやく周りから認めてもらえたかなと思っています。

事務局:第三者の方から安心だと言われると、本当に安心な施設なんだなと思えますよね。

佐藤:そういう面でいうと、うちの職員はそれなりに勉強していますよ。

事務局:こちらも評価結果に記載がありますが、職員の方々は、勉強は自主的にするものということが根付いているとあります。研修費用を全面的にバックアップするなど、研修にはだいぶ力を入れられているようですね。

佐藤:大それたことはしていませんが、弊社の代表が看護師なので、基本的には看護師の視点から気を付けるべきところを指導したり、入居者への普段の生活支援の中で勉強したりしてもらっています。もちろん、内部研修や外部研修にも参加しています。それに今はスマートフォンがあるので、時間がない中でもわからないことがあればスマートフォンで調べるなど、いろいろなものを利用しながら勉強してもらっています。

事務局:重度の方が多いので、医療的ケアの部分も勉強されているのですか。

佐藤:基本的にたんの吸引は施設の看護職員が医療的ケア指導者なので、介護職員に指導しています。看護職員がいない時も対応できるよう、看護職員から必ず指導を受けてもらい、指導を受けた職員のみ対応しています。

事務局:看護職員がいないため、痰の吸引を必要とする入居者が入居できなかったり、入居途中で退去せざるを得なかったりする場合もあるので、そういった意味では安心ですね。

ー入居者の皆様は我々の先輩

事務局:お看取りを行った後は振り返りを行い、お看取りされた方のケースをまとめられているそうですね。評価結果には一冊の書籍にしてもおかしくない貴重な内容となっているとあります。

佐藤:訪問診療の先生からいろいろな事例があるからやったほうが良いとアドバイスを受けて始めました。いわゆるデスカンファレンス(※)の応用ですよね。入居者が亡くなった後、職員がその入居者に対してどう接していたか、もっとこうすれば良かったということや、入居者とのエピソードや思い出、苦手な部分もあったけれど、こういうステキな面もあった。次にまた同じようなケースの入居者の看取りをする場合はどうしたいなどを書いてもらっています。他の職員がどのように接していたかを共有し、なるほどな、と勉強にもなります。こういったデスカンファレンスを3年ほど続けており、現在、26名のケースをまとめてあります。
(※)デスカンファレンスとは、本来はスタッフを集め、患者やご遺族から得た情報・患者の看護記録・看取り業務の振り返りを共有した上で、スタッフ同士意見交換を行う場のことをいいます。住宅型有料老人ホームなごみでは、介護職員が思いを表出しやすいように、それらをレポートにしています。

事務局:今後に繋げるためのとても大切なカンファレンスですね。ここまでお話しを伺っていて、こちらの施設は職員への教育を丁寧にされているんだなと感じました。

佐藤:入居者の皆様は我々の先輩です。職員にはそれを忘れずに接することや、看取りは普通立ち会えない貴重な体験で、誰もが経験できることではなく、人生の最期に立ち会えるというのはすごいことなんだよと伝えています。 それに、職員がどれだけやっているかは、入居者の方の表情や返答にすぐ現れます。良い職員には入居者がお話ししたり、笑顔であったりするのに対し、上辺だけで接している職員には笑わなかったりします。やっぱり心から接しないとダメですね。いろいろな入居者がいるので対応も様々です。私もお返事が返ってこない時もあり、どうすればいいか考えますよ。日々勉強ですね。そこで「ありがとう」と言ってもらえると「あぁ嬉しいなあ」と思います。

事務局:入居者の方も一人ひとり違うので対応が難しいですね。

佐藤:難しいからこそ、職員にはどうすればいいのかを考え、自分で気づいてほしいと思っています。そういうことが仕事の幅にもなるし、それを達成したときの喜びもあれば、職員の仕事に対する意識も変わるかなと思っています。

ー目はかけるけど手はかけないがモットーです

事務局:イベント、行事などはあるのでしょうか。

佐藤:季節のイベントを行っています。春にはドライブでお花見をしており、車いすの入居者にもご参加いただいています。直近ではクリスマス会を行う予定です。イベントを行う際の我々のモットーは、職員が楽しむことです。入居者を喜ばせようとすると事務的になってしまい、良い反応が返ってこないんです。職員が楽しめていると、それを見て入居者も楽しそうに笑ってくれます。 また、寝たきりの方もベッドをデイルームに運び、お部屋から連れ出し一緒に参加しています。寝たきりであっても特別ではないので。

事務局:どんな方でも特別ではないというのは素敵な考え方ですね。

佐藤:ここの施設は出来ないからやらせないではなく、まずやってみよう、“出来る”と“やっている”は違うと思っています。割とスパルタなんです(笑) 介護は、「出来ることは自分で、出来ないことを補う」ことが基本です。例えば、車いすで手が動く方は、基本的に職員が押すことはせず、自分で操作してもらい、職員は危険なことがないか見守っています。最初は操作が難しく、動きがジグザグになりますが、慣れてくると自主的に車いすを操作して移動しています。そうすると、自分で行きたいところに行けますし、筋力アップにもなりますからね。 たまにお部屋に戻る時に、車いす同士の方が競争していることもありますよ。 目はかけるけど、手はかけないがモットーです。

事務局:住宅型有料老人ホーム なごみは、要介護度の重い方であっても特別と思わず、一人の人として、その方を最期までサポートする、そんな施設の姿勢や施設長のお考え、その取り組みがよく分かりました。 本日はお忙しいところお話をお聞かせいただきましてありがとうございました。

※住宅型有料老人ホームなごみ外観写真

敷地建物賃貸借契約(契約期間25年(平成27年契約))

 

住宅型有料老人ホームなごみ 類型及び表示事項

類型

住宅型有料老人ホーム 

居住の権利形態

利用権方式

入居時の要件

要介護

利用料の支払い方式

月払い方式

介護保険

在宅サービス利用可

居室区分

全室個室



【問い合わせ先】0197-61-5100 
〒024-0022 岩手県北上市黒沢尻4-8-20 
「住宅型有料老人ホームなごみ」公式ホームページ

 
●職員体制(2022年12月時点)
週40時間換算で常勤介護職員1人・看護職員1人、夜間(17:30~8:30)最少時は介護職員1名、または看護職員1名

●事業者からの解約
・入居者・身元引受人または入居者の家族・その他の関係者の言動及び要 望等が、入居者自身又は他の入居者あるいは従業員の心身又は生命に危害 を及ぼす恐れがあるとき又は他の入居者に対する有料老人ホームにおける 通常の接遇方法ではこれらを防止することができないとき
・入居者・身元引受人又は入居者の家族・その他の関係者が、事業者の運 営に支障を及ぼしたとき又は重大な支障を及ぼす恐れが合理的に認められ るとき
・入居者・身元引受人又は入居者の家族・その他の関係者が、事業者又は その従業員あるいは他の入居者に対して、本契約を継続し難いほどの背信 行為を行ったとき又は背信行為を行うと合理的に認められるとき など

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