(ご家族からの質問)
身体介護が必要な要介護3の父が有料老人ホームに入居中。先日入浴介助中にホームの職員が手を離した際に、父がふらつき転倒したため、救急搬送された。大腿骨骨折で緊急手術になり、後日退院する予定である。
今回の事故で生じた損害についてホームに賠償を求めたが、回答がない。損害賠償を求めてはいけないのか。
≪相談者に対する苦情対応委員会のコメント≫
今回の相談は入浴介助中に、手を離した際に起きた事故であり、特別な事情がない限り、職員の過失が認められることになります。
まず、事故の記録が義務づけられていますので、事業者に詳細の説明を求め、職員の過失によって起きた事故であれば、受けた損害に対する賠償を求めてください。ホームが応じなければ、自治体の有料老人ホーム指導監督部署に相談してください。
~入居を検討している方へ~≪トラブル回避のためのチェックポイント≫
ホームの重要事項説明書には損害賠償責任保険の加入状況の有無、介護サービスの提供により賠償すべき事故が発生したときの対応方法の有無、事故対応及びその予防のための指針の有無が記載されています。各項目の詳細についてはホームに確認してください。
(参考)
有料老人ホーム設置運営標準指導指針(老発 0401 第 14 号 令和 3 年 4 月 1 日)
12 契約内容等
⑻事故発生の防止の対応
有料老人ホームにおける事故の発生又はその再発を防止するため、次の措置を講じること。
一 事故が発生した場合の対応、次号に規定する報告の方法等が記載された事故発生の防止のための指針を整備すること。
二 事故が発生した場合又はそれに至る危険性がある事態が生じた場合に、当該事実が報告され、その分析を通した改善策について、職員に周知徹底を図る体制を整備すること。
三 事故発生の防止のための委員会(テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。)及び職員に対する研修を定期的に行うこと。
四 前三号に掲げる措置を適切に実施するための担当者を置くこと。
⑼ 事故発生時の対応
有料老人ホームにおいて事故が発生した場合にあっては、次の措置を講じること。
一 入居者に対するサービスの提供により事故が発生した場合は、速やかに都道府県、指定都市又は中核市及び入居者の家族等に連絡を行うとともに、必要な措置を講じること。
二 前号の事故の状況及び事故に際して採った処置について記録すること。
三 設置者の責めに帰すべき事由により、入居者に賠償すべき事故が発生した場合は、入居者に対しての損害賠償を速やかに行うものとすること。