(ご家族からの質問)
父が住宅型有料老人ホームに入居している。ホーム内で新型コロナウイルスが発生し、父は感染していないが、ホームから感染対策のため入居者の居室に鍵を締め、入居者が自分の居室から自由に出られないようにすることについて、同意書に署名してほしいと言われた。署名しなければならないのか。
≪相談者に対する苦情対応委員会のコメント≫
ホームには感染症等に対して、感染拡大防止策を最大限実施する必要がありますので、まずはホームの感染対策について説明を求めてください。居室を施錠し外に出られないようにすることは行動制限であり、室外に出たら感染するおそれが極めて強いといった、生命・身体を保護するために緊急やむを得ない場合を除き、高齢者虐待防止法に抵触します。このような異例な事例に該当しない限り、ご相談のような施錠監禁は許されませんので、ホームは同意を求めることはできません。家族は同意書に署名する必要はありませんし、ホームに対しそのような対応をとらないよう求めることができます。
~入居を検討している方へ~≪トラブル回避のためのチェックポイント≫
新型コロナウイルスがホームで発生した場合の対応方法や入居者への行き過ぎた行動制限がないか、また家族との面会方法等について、事前にホームに確認しましょう。
(参考)
有料老人ホーム設置運営標準指導指針(老発 0401 第 14 号 令和 3 年 4 月 1 日)
9 サービス等
⑷ 設置者は、高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(平成 17 年法律第 124 号)に基づき、次の事項を実施すること。
イ 同法第5条の規定に基づき、高齢者虐待を受けた入居者の保護のための施策に協力すること。
ロ 虐待の防止のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。)を定期的に開催するとともに、その結果について、職員に周知徹底を図ること。
ハ 虐待の防止のための指針を整備すること。
ニ 職員に対し、虐待の防止のための研修を定期的に実施すること。
ホ ロからニまでに掲げる措置を適切に実施するための担当者を置くこと。
へ その他同法第 20 条の規定に基づき、苦情の処理の体制の整備その他の高齢者虐待の防止等のための措置を講ずること。
⑸ 入居者に対するサービスの提供に当たっては、当該入居者又は他の入居者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他入居者の行動を制限する行為(以下「身体的拘束等」という。)を行ってはならないこと。
⑹ 緊急やむを得ず身体的拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の入居者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないこと
⑺ 身体的拘束等の適正化を図るために、次に掲げる措置を講じなければならない。
イ 身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。)を三月に一回以上開催するとともに、その結果について、介護職員その他の従業者に周知徹底を図ること。
ロ 身体的拘束等の適正化のための指針を整備すること。
ハ 介護職員その他の従業者に対し、身体的拘束等の適正化のための研修を定期的に実施すること
高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(平成十七年法律第百二十四号)