(ご家族からの質問)
家族が介護付有料老人ホームに入居している。病院に家族が入居者を連れて行く際、ホームの職員が付き添うことになったが、費用の有無などについては何も説明がなかった。その後、付き添い費用として10分440円請求された。重要事項説明書にも契約書にも付き添い費用の説明はないが、ホームの運営ルールとのこと。支払わなければならないのか。
≪相談者に対する苦情対応委員会のコメント≫
有料老人ホームでは、提供するサービス及び費用は契約書等に定めることが必要で、契約書に記載がなく、入居者等の支払いの同意がないサービスについては、支払う必要はありません。「運営ルール」とするならば事業者は契約書等で明示する必要があります。
ただし、ホームは義務なく事務の管理(付き添い)をしたことになるので、「事務管理」として、交通費等の費用の請求が可能ですし(民法702条1項)、相当な額であれば報酬を請求することが可能です(商法512条)。
~入居を検討している方へ~≪トラブル回避のためのチェックポイント≫
月額利用料以外で支払いが必要となる個別の利用料については、入居契約書や管理規程、重要事項説明書などで確認しましょう。また、それ以外に個別で支払いが必要となる費用がないかホームに確認しましょう。
(参考)
有料老人ホーム設置運営標準指導指針(老発 0401第 14 号令和 3 年 4 月 1日)
12 契約内容等
⑴ 契約締結に関する手続等
一 契約に際して、契約手続、利用料等の支払方法などについて事前に十分説明すること。特定施設入居者生活介護等の指定を受けた設置者にあっては、入居契約時には特定施設入居者生活介護の提供に関する契約を締結しない場合であっても、入居契約時に、当該契約の内容について十分説明すること。
有料老人ホーム設置運営標準指導指針(老発 0401第 14 号令和 3 年 4 月 1日)
⑵ 契約内容
一 入居契約書において、有料老人ホームの類型(サービス付き高齢者向け住宅の登録を受けていないものに限る。)、サービス付き高齢者向け住宅の登録を受けている場合は、その旨、利用料等の費用負担の額及びこれによって提供されるサービス等の内容、入居開始可能日、身元引受人の権利・義務、契約当事者の追加、契約解除の要件及びその場合の対応、前払金の返還金の有無、返還金の算定方式及びその支払時期等が明示されていること。
二 介護サービスを提供する場合にあっては、心身の状態等に応じて介護サービスが提供される場所、介護サービスの内容、頻度及び費用負担等を入居契約書又は管理規程上明確にしておくこと。
民法(明治二十九年法律第八十九号)
第七百二条 管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる。
商法(明治三十二年法律第四十八号)
第四条 この法律において「商人」とは、自己の名をもって商行為をすることを業とする者をいう。
第五百十二条 商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときは、相当な報酬を請求することができる。
景品表示法指定告示
https://www.yurokyo.or.jp/kakodata/member/sec/pdf/20120404_01.pdf