(ご家族からの質問)
有料老人ホームに 8 月 12 日に入居し、11 月 10 日に退居した。従って 3 か月以内の短期解約特例での退居に相当すると考えていた。しかし、ホーム側の計算書では短期解約特例の適用はなく、通常解約の取り扱いであった。理由は、入居契約書に契約日が 7 月 30 日として記載されており、契約日=入居日とすると明記されていたためである。商品券進呈につられ 7 月 30 日に契約したが、契約日と入居日が同日となることを認識していなかった。実際に入居した日を起算日として、短期解約特例は適用されないのか。
≪相談者に対する苦情対応委員会のコメント≫
老人福祉法施行規則では、入居日から3か月以内に、契約が終了した場合は「短期解約特例」が適用されます。入居契約書に「契約日=入居日」と規定されていても、双方合意のもと入居日を変更したのであれば、変更した入居日に基づき短期解約特例が適用されます。入居日を変更する場合は、後日のトラブル回避のためにも、双方において入居契約書等の書面で入居日を変更したことを記録しておくことが必要です。なお、入居契約書に「契約日=入居日」と規定され、契約日から入居できるにもかかわらず、入居者の都合で入居日を遅らせたのであれば入居日は7月30日となり、短期解約特例は適用されません。
~入居を検討している方へ~≪トラブル回避のためのチェックポイント≫
「入居日」は前払金における返還金の算出や月額利用料の開始日となるため、非常に重要な日付です。入居契約書の入居日がいつとなっているか確認し、実際の入居日が契約時の入居日と異なる場合は、ホームと合意のうえ、双方の入居契約書の入居日を変更してください。
(参考)
老人福祉法
(届出等)
第二十九条
10 有料老人ホームの設置者は、前項に規定する前払金を受領する場合においては、当該有料老人ホームに入居した日から厚生労働省令で定める一定の期間を経過する日までの間に、当該入居及び介護等の供与につき契約が解除され、又は入居者の死亡により終了した場合に当該前払金の額から厚生労働省令で定める方法により算定される額を控除した額に相当する額を返還する旨の契約を締結しなければならない。
老人福祉法 施行規則 第21条第1 項1号
(家賃等の前払金の返還方法)
第二十一条 法第二十九条第八項の厚生労働省令で定める一定の期間は、次に掲げるものとする。
一 入居者の入居後、三月が経過するまでの間に契約が解除され、又は入居者の死亡により終了した場合にあつては、三月
(参考資料)東京都消費者被害救済委員会「介護付有料老人ホーム退去時の返還金に係る紛争」
https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/sodan/kyusai/funsou151209.htm