~相談員コラム~
「あなたは老後の住まい、どうしますか?」
相談員が自分事として考える老後の住まい
最近、次のようなご相談がありました。比較的高い公的な賃貸住宅に居住していたご夫婦の一方が逝去されました。ご夫婦の年金を合算すれば生活できる生活設計だったのですが、一人で全額負担となると、当面は貯金を取り崩し、やり繰りができたとしても、将来的には生活ができなくなるとのことでした。従って、家賃負担が少ない住宅を求めて、住み慣れたところを引っ越さなければならないことが悲しくもあり、残念との事でした。
このような相談をお聞きすると、夫婦で生活していても、いつかどちらかが一人になることを考え、現在の住まいに住み続けることができるのか、それとも別の住まいに住み替えなければならないのか早めに検討する必要があると実感させられます。住まいを変えるということは、引っ越しや新しい環境での人間関係の構築が必要となり、とてもエネルギーを要します。また一人暮らしとなった後に急に介護が必要となり住まいを探し始めるとなると、結局身内の意向が強くなり、ご本人が望む住まいを選択することができないことも多く、早いうちから情報を収集することはとても大切なことです。
様々な相談をお聞きするなかで、自分が気が付かないレベルでそっとサポートを受けながら生活を継続できることが、理想的な老後の住まいではないかと思います。それが自宅で実現可能なのか、それとも有料老人ホーム等に住み替える必要があるのかは、ご本人でなければわからないことです。ただし、自宅で生活を継続する場合は、要介護となった時に介護保険サービスを利用する他に、ご家族やご近所の支援が必要になることも考えておく必要があります。もし有料老人ホーム等に住み替える場合には、自分の希望に合った住まいを自分で選択することが、その人の理想の老後の住まいとなるのではないでしょうか。
当協会では、住まい選びについてご相談を受け付けております。老後の住まい選びにおいては、一人で悩まず、協会がいつでも対応していることを頭の片隅に入れていただければと思います。
(公社)全国有料老人ホーム協会 参与 中村 正文