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お知らせ

会員ホームインタビュー記事「もみの樹・杉並」

第三者評価

もみの樹・杉並

「ご入居者も職員も笑顔になるホームづくり」

 

 有料老人ホームへの入居を検討されている皆様にあんしんできる住まい選びをしていただくため、協会で実施している【サービス第三者評価】を受審されたホームをご紹介します。

 サービス第三者評価とは、ホームが外部の専門家による評価を受けることで、自分たちでは見えなかった改善点に気付き、質の向上に励んでいただくことを目的としている本協会の事業です。詳細は「こちら」をクリックしてください。
※「もみの樹・杉並」の評価結果は「こちら」からご覧ください。

 今回ご紹介するのは2022年度にサービス第三者評価を受審された介護付有料老人ホーム「もみの樹・杉並(東京都杉並区和泉)」です。井の頭線「永福町」駅から徒歩約10分(約650m)という利便性のよい立地に広々とした敷地を持ち、お散歩道が整えられた中庭では四季折々の草花を楽しむことができます。人員配置は「1.5:1」と手厚く、夜間も介護スタッフ4名と看護スタッフ1名が常駐しています。常勤の作業療法士と理学療法士、毎週来訪する言語聴覚士が、一人ひとりに合わせて工夫を凝らしたリハビリを行っています。運営元は大和ハウスライフサポート株式会社。同社は東京都、神奈川県、静岡県に計6つの老人ホームを展開しています。「もみの樹・杉並」の館長である大西倫太郎さんにホームでの取り組みについてお話をうかがいました。

※「もみの樹・杉並」大西館長(2023年4月現在)

認知症ケアのスペシャリストを育成・認定しています

事務局:第三者評価結果の「優れた取り組みと思われる点」に、独自の認知症ケアプログラム「D’sケアマスター制度」があげられていますが、どういった制度か教えてください。

 

大西(「もみの樹・杉並」館長。以下、大西):運営元の大和ハウスライフサポート株式会社が策定する独自のプログラムで、「D’sケアマスター」と称した認知症ケアのスペシャリストを育成・認定するものです。基本理念は「その方を知ります、ありのままを受け入れます、共に笑顔になります」。ご入居者が「その方らしく」お過ごしになれるための、質の高いケアに取り組んでいます。

 

事務局:「D’sケアマスター」になるためには、どのような条件があるのでしょうか。

 

大西:まず、国が定めている研修「認知症実践者研修」の資格を有していること。それから、大和ハウスライフサポート株式会社が設定する12のチェック項目をクリアしていることが求められます。その上で、現場の統括責任者の一次チェック、本部の監査役の二次チェックに合格すると、「D’sケアマスター」になることができます。また、合格したら終わりではなく、半期に一度は研修と再チェックを実施し、認知症ケアスキルのレベルアップを図っています。

 

事務局:ご入居者やご家族の方は、「D’sケアマスター制度」についてご存知なのでしょうか。

 

大西:ご入居時や年に2回行う運営懇談会で、「D’sケアマスター制度」の説明をさせていただいています。また、誰が「D’sケアマスター」なのか一目でわかるように、オリジナルのワッペンを制作して左袖に付けるようにしています。

 

事務局:「D’sケアマスター制度」を取り入れる意義についてはどうお考えでしょうか。

 

大西:私は、介護の仕事とは正解がないものだと感じています。当ホームでも、職員が日々模索しながらご入居者のことを思い、ケアを行っていますが、一人ひとりの経験や考え方はさまざまです。そのため「D’sケアマスター制度」により、基本となる介護観やケア方法を統一させ、弊社ホームの認知症ケアの軸としています。その軸を共有した「D’sケアマスター」の職員を中心にケア方法が話し合われるため、議論がより充実したものになり、効果的なアイデアが出やすくなったと実感しています。

ご入居者の可能性や個性に向き合ったケアに取り組んでいます

事務局:認知症ケアについて、特に印象的な事例があれば教えてください。

 

大西:病院から当ホームに移られてきた方で、認知症がかなり進行し、歩行や会話、経口摂取も難しいご入居者がいらっしゃいました。経管栄養の管を抜いてしまったり、職員に手をあげてしまうこともあり、病院からの情報をもとに、入居当初は身体拘束について極めて慎重な手続きのもとに、つなぎ服、ミトン手袋、ベッドの4点柵や、車椅子ベルトなどを余儀なくされていました。しかし、職員一丸となって認知症ケアに尽力して1年ほどが経つと、これらの拘束がすべて外れ、自分の足で歩けるようになり、経口摂取もできるようになったのです。調子が良いときは、普通の会話を楽しむことも可能になりました。どんどん改善する姿には本当に驚かされ、私たちも力をいただきました。

 

事務局:それはすばらしいですね。どのようなアプローチをされたのでしょう。

 

大西:まず、ストレスがかかる身体拘束をできるだけ外していくことから始めました。動きが自由になると転倒のリスクは増えますが、ご家族からも「転倒を恐れて拘束するよりも、自由に動けるようにしてあげたい」というご希望をいただいていたので、しっかり見守りながら徐々に取り組みました。同時に転倒防止のため、職員一同でご本人が積極的になる時間帯、反応が良いキーワードなどを探りながら、歩行訓練や階段昇降などのリハビリで筋力アップを図りました。最終的に車椅子ベルトを含むすべての拘束具が取れ、ご本人のストレスは大幅に軽減されたと思います

 

事務局:胃ろうになった方が口から食べられるまでに回復したのも驚きです。

 

大西:嚥下訓練については、言語聴覚士、看護師、嚥下内視鏡検査をしてくださる歯科の先生の助言を得ながら進めました。最初の嚥下内視鏡検査では「今後経口摂取は無理だろう」と言われたのですが、私たちは希望を捨てずにゼリーやプリンから試し、少しずつ口から食べられるものを増やしていきました。最初は「食べる」という動作自体を覚えていらっしゃらなかったのですが、その方の反応が良い時間帯や食べ物の名前をみんなで探って共有しながらアプローチを続け、約1年をかけて3食とも経口摂取ができるところまでたどり着きました。苦労も多かったですが、結果的にご本人が元気を取り戻し、笑顔が増えたことがうれしかったですね。

 

事務局:お話を聞いていると、職員間でしっかり情報共有をして、チームワーク良く動かれていることが伝わってきます。情報共有について何か工夫されていることはあるのでしょうか。

 

大西:介護の現場は切れ目がなく、24時間365日動いているので、情報共有は難しい部分です。当ホームでは基本的に、パソコンやタブレット端末で情報を入力してリアルタイムに共有ができる「介護記録システム」を活用しています。ですが、前述の認知症ケア事例のような場合、より具体的で率直な情報共有が必要になりますので、その方専用の連絡ノートをつくり、現場の出来事をくわしく書き込み合うこともあります。また、特に大切なことは朝夕の申し送り時にしっかりと口頭で伝え合います。

 

事務局:大変な部分ですが、職員さん同士でしっかりと情報共有ができていることは、ご入居者やご家族の信頼につながりますね。認知症や要介護度が高い方のケアで、他に心がけていることはありますか。

 

大西:当ホームでは、認知症の方も寝たきりの方も、基本的に1日1回は共有スペースにお連れし、お声がけをしたり、人の気配を感じていただいています。お部屋にこもりきりにならないようにという部分は、特に意識しています。

素敵な笑顔を引き出す「旅行プロジェクト」

事務局:「旅行にもう一度行きたい」というご入居者の思いを実現するための「旅行プロジェクト」も、第三者評価で「優れた取り組み」にあげられています。これまでの取り組みを教えていただけますか。

 

大西:コロナ禍以前は、春と秋の年2回、12日の旅行に出かけていました。ご家族にも「ご一緒にどうぞ」とお声がけして、楽しい思い出をつくっていただきました。行き先はご入居者へのアンケートやヒアリングを参考に決め、富士山周辺、草津、横浜中華街、ディズニーリゾートホテルなど、バラエティに富んでいました。安全を確保するため、職員はマンツーマン以上の体制で付き、看護職員も同行します。認知症が進んだ方、要介護度5で生活全般のサポートが必要な方、経管栄養の方などにも、ご参加いただいていました。

 

事務局:さまざまなケアが必要な方とのご旅行となると、かなりの配慮が必要ですよね。

 

大西:そうですね。宿泊先は、バリアフリー対応で要介護の方も受け入れてくださるところを選んでいます。車椅子のままお部屋に入れたり、お部屋に温泉が付いていると、快適に過ごしやすいですね。持ち運びできるナースコールも準備して、24時間体制でケアができるようにしています。要介護度が高い方や認知症の方の中には、職員が一緒にお部屋に泊まることもあります。みんなでシフトを組んで、4時間程度の仮眠を取りながら対応しています。

 

事務局:ご入居者に旅行を安全に楽しんでいただくための職員の方の努力が伝わってきます。

 

大西:職員は旅行が終わるとヘトヘトになりますね。でも実は、「旅行プロジェクトがやりたい」と言って入社してくれる方もいますし、旅行の同行を希望する職員はかなり多いんです。それは、旅行を通じて普段見られないご入居者の嬉しそうな表情が見られることが、大きな喜びになっているからだと思います。

 

事務局:ご入居者としては、非日常を体験することがかなりのリフレッシュになりそうですね。

 

大西:ホーム内ではあまり寝ない・食べない方が、旅行先ではしっかり寝てくださり食欲も旺盛になることは「旅行あるある」です。先ほど例にあげた認知症の方は奥さまと参加されて、一緒にアイスクリームを食べてとても喜んでいらっしゃいました。旅行は、ご入居者、ご家族、職員が笑顔になり、感動を共有する場だと感じています。

 

事務局:コロナ禍に入ってからは、オンライン旅行をされていると伺いました。

 

大西:オンライン旅行は専門の業者さんと協力して、2021年の秋から始めました。1回目は京都、2回目は小豆島、そして3回目は海外に飛び出してニュージーランドをめぐりました。次回は北海道旅行を計画しています。現地のさまざまな観光地とリアルタイムでつながり、チャット機能を使って添乗員や現地の方と楽しく交流していただいています。

 

事務局:旅行の楽しみの一つに食事がありますが、オンライン旅行の食事はどうされているのですか?

 

大西:お昼ご飯のときに、厨房の方が腕によりをかけたご当地グルメを提供しています。京都旅行では京懐石、小豆島旅行では瀬戸内のコース料理、ニュージーランド旅行では欧風料理が振る舞われました。皆さんとても喜んでくださって、普段は食が細い方もたくさん食べていらっしゃいました。次の北海道旅行では、海鮮のコース料理を計画しています。

食事や音楽を楽しみ、心華やぐ日常を

事務局:旅行プロジェクト以外でも、普段のお食事には色々と工夫を施されていらっしゃいますね。

 

大西:食事の楽しみを増やすため、週1回は「イベント食」として郷土料理や季節の料理を提供しています。また、木曜日はいつもの食事より豪華な「なごみランチ」を提供し、ちょっといいもの、例えばお刺身や天ぷらなどを楽しんでいただいています。火曜日と金曜日の夕食は肉料理と魚料理を選べるようにしています。さらに土曜日は「セレクトメニュー」を取り入れて、2日前までに「そばを食べたい」「カレーを食べたい」などと言っていただければ、ご希望のメニューを召し上がっていただけます。別途費用はかかりますが、「アラカルトメニュー」としてお寿司やステーキ、鰻などをご用意することもできます。

 

事務局:「イベント食」に「なごみランチ」、「セレクトメニュー」や「アラカルトメニュー」、さらには旅行プロジェクトのご当地グルメまで、本当に食べる楽しみが散りばめられていますね。

 

大西:ご入居者にとってお食事は大きな楽しみで、非日常的なお食事やお好きなメニューが出ると、皆さんよく召し上がるんです。美味しそうにお食事される姿を拝見することは、スタッフにとっても大きな喜びになっています。

 

事務局:ご入居者が楽しめる多彩なイベントも「優れた取り組み」として評価されていますが、特に力を入れている分野などはありますか。

 

大西:ご入居者には音楽好きな方が多く、音楽系のイベントは積極的に開催しています。新型コロナウイルス感染症が拡大している時期はオンライン演奏会も行いましたが、やはり「生の演奏を聴きたい」というご希望が多く、感染対策に留意しながら、これまでに、ジャズピアノコンサート、ギター演奏会、バイオリン演奏会、グランドハープ演奏会、ダンスパフォーマンスなどを行ってきました。

 

事務局:要介護度が高い方も一緒に楽しんでいらっしゃるのでしょうか。

 

大西:そうですね。音楽イベントはすごく楽しまれているように感じます。認知症や寝たきりの方で普段反応がない方も、音楽を聴くといつもと違う表情や反応を見せてくれます。お元気な方も、要介護度が高い方も関係なく楽しむことができ、音楽の力は本当に偉大だと感じます。今後も皆様が楽しめる音楽イベントを企画していこうと考えています。

事務局:第三者評価では「さらに取り組むことで、より質の向上が可能と考えられる点」として、ご入居者の多剤服用問題をあげています。本当は必要のない薬を服用し続けることはご入居者にとって負担が大きく、最近は減薬の支援に注目が集まっていますが、「もみの樹・杉並」さんの今後の取り組みの展望をお聞かせください。

 

大西:多剤服用の解消は、私たちも積極的に取り組みたいと考えている部分です。第三者評価を受けた時期は、往診の先生や薬局と話し合ったり、多剤服用問題に取り組んでいるお医者さんの講演会を開催している段階でした。第三者評価受審後、なるべく早く具体的な対策を始めようということで、2022年の下半期からは実際に減薬に着手しています。内服薬を減らすのはなかなか難しくまだ途上ですが、貼付薬や軟膏といった外用薬については、半期の取り組みで約25%減らすことができ、ご入居者の金銭的負担の軽減や、服薬の間違い防止にもつながりました。今後も引き続き尽力してまいります。

 

事務局:ご入居者一人ひとりを尊重する姿勢、ご入居者の笑顔が職員の方の大きなやりがいになっていることがよくわかりました。本日はお忙しいところお話をお聞かせいただきましてありがとうございました。

※「もみの樹・杉並」外観写真

「もみの樹・杉並」 類型及び表示事項

類型

介護付有料老人ホーム (一般型特定施設入居者生活介護)

居住の権利形態

利用権方式

入居時の要件

混合型(自立除く)

利用料の支払い方式

選択方式(前払い金方式、月払い方式)

介護保険

東京都指定介護保険特定施設(一般型)

居室区分

定員1人

介護にかかわる職員体制

1.5:1以上

【お問い合わせ先】0120-07-4165(平日9001700

168-0063 東京都杉並区和泉3-52-8

「もみの樹・杉並」公式ホームページ

 

●職員体制(20234月現在)

36.265時間換算で常勤介護職員31.05人・看護職員6.5人、夜間(19:307:00)最少時は介護職員4名、看護職員1

・看護師(常勤5名・非常勤2名)

・作業療法士(常勤1名・非常勤0名)

・理学療法士(常勤1名・非常勤0名)

・言語聴覚士(常勤0名・非常勤1名)

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