宝塚エデンの園
「対話を充実させ、幸せを追求する」
有料老人ホームへの入居を検討されている皆様にあんしんできる住まい選びをしていただくため、協会で実施している【あんしん宣言】に取り組まれているホームをご紹介します。
あんしん宣言とは、法令等に基づき6つの項目について、ホームが自ら点検を行うことで、入居者に安心・安全をお届けするものです。詳細は「こちら」をクリックしてください。
※「宝塚エデンの園」の【あんしん宣言】は「こちら」よりご覧いただけます。
今回ご紹介するのは2021年7月に【あんしん宣言】された、介護付有料老人ホーム「宝塚エデンの園」(兵庫県宝塚市)です。
歌劇の町として有名な宝塚市にある宝塚エデンの園は、1979年開設の歴史あるホームです。山に抱かれた自然豊かな立地で、華やかな文化と美しい四季を感じながら暮らすことができます。運営母体は、医療介護分野で90余年の実績を持つ社会福祉法人聖隷福祉事業団です。入居時自立型のホームで、長い時間をともに過ごすご入居者と職員のコミュニティを大切にしており、一人ひとりの幸せを追求したトータルヘルスケアを行っています。
「宝塚エデンの園」の園長である請川さんにホームでの取り組みについてお話をうかがいました。
※「宝塚エデンの園」請川園長
-職員の働きがいがサービス向上につながる-
事務局:2021年7月に【あんしん宣言】を公表していますが、公表した経緯を教えてください。
請川(宝塚エデンの園の園長。以下、請川):近年は、高齢期の住まいの選択肢が増える一方で、ご自分にあった施設をどう選べばよいかが、わかりにくくなっているのではないかと思います。そのような状況の中、全国有料老人ホーム協会の会員ホームであることが、入居検討者の安心材料の一つになっていることを実感してまいりました。さらに、有老協が策定する【あんしん宣言】を明示することで、文字通り安心して暮らせるホームだということをしっかり伝えて、納得してご入居いただきたいと考え、公表しています。
事務局:【あんしん宣言】の項目(ホームの運営理念、情報公開、入居者の権利擁護、職員の業務スキル向上、適正な入居契約の締結)の中で重点を置いた項目はありますか。
請川:私たちが特に力を入れているのは、「職員の業務スキル向上」です。なぜなら、職員がやりがいを感じて生き生きと働くからこそ、ご入居者へのサービスの質が向上すると考えているからです
事務局:具体的にどのようなことに取り組んでいますか。
請川:まず運営元の法人としては、職員一人ひとりの目指すキャリアパスを明示しており、それを実現できるようにサポートしています。そこで、資格取得の支援制度を設けるほか、1年目向け、2年目向け、3年目向け、中堅層向け、管理職向けなど、階層別に研修を行っています。聖隷福祉事業団が運営する他の福祉施設と共同で研修を行い、意見を交換することもあります。一方、宝塚エデンの園では毎月1回は勉強会を開き、接遇、感染予防、介護予防、安全管理などのテーマについて、みんなで知識を深めています。講師役は、役職者や経験豊富な中堅職員です。自身の経験を周りに伝えることで、本人のさらなる成長にもつながると考えています。
事務局:職員の皆さんの働きがいやキャリアアップを大切にされているのですね。長く勤める方も多いのでしょうか。
請川:介護業界は離職率が高いことが問題視されていますが、当法人の離職率は平均を下回っていて、定着率がよい職場だといえます。うちのホームにも長く勤めている職員が多く、中には勤続20年以上の頼れるベテランもいるんです。
事務局:それは、ご入居者にとっても心強いですね。
請川:はい。ご入居者からも、「自分のことをよく知っている職員が見守り続けてくれる環境は安心できる」という声をよくいただきます。
事務局:あんしん宣言の最後の項目にある運営上特に力を入れている事項には、「健康管理・医療支援・介護を柱とし『その人らしさを大切にしたサービス』をご提供します」とありますが、具体的な取り組み内容を教えてください。
請川:まず、健康管理・医療支援としては、年に2回の定期健康診断を行っています。聖隷福祉事業団の人間ドッグを専門とする事業部が担当しますので、充実した検査内容で精度も高いことが特色です。また、園内には協力医療機関「宝塚エデンの園附属診療所」があり、内科、リハビリテーション科、整形外科、精神科を備えています。病床は19床用意されていて、入院することもできます。さらに、園内の診療所には24時間医師と看護師がおり、日頃からご入居者の様子を見守っています。
事務局:充実した医療支援体制ですね。日常的にサポートをしてくださるのは、安心につながります。
請川:当ホームでは、いざという時も的確に動けるよう、医療連携にも力を入れ、しっかり情報を共有しています。例えば、健康診断で何か異常が見つかった場合は、すみやかにその後のフォローを附属診療所が引き継ぎます。突然倒れたといった緊急の場合も、診療所の医師や看護師がすぐに駆けつけ、適切な処置をしながら迅速に病院に搬送します。医療機関からの退院後の生活のサポートも、診療所の医師、看護師と連携を取り、介護士、栄養士など職種間で話し合いながら、お一人おひとりにあわせて丁寧に行っていきます。
事務局:日常的に医療支援が行き届いていて、いざという時にはスピード感のある対応をしていただけるのですね。介護予防についてはどのようなサービスを提供されていますか。
請川:当ホームの介護予防の特色は、身体的側面、社会的側面、認知・精神・心理的側面を包括的にケアすることです。身体的側面のケアとしては、まず毎年9月に体力測定を実施し、身長、体重、筋肉量、血圧などのほか、歩行スピードや歩行能力、バランス感覚などもチェックします。広い館内を活用して大々的に行い、ご入居者の皆さんは楽しみながら積極的に参加してくださっています。体力測定をきっかけに身体機能の低下に気がつくこともあり、そういった場合には施設職員がお声がけをして、診療所の作業療法士や理学療法士と連携してリハビリプログラムを組んだり、運動を勧めたりしています。また、日常的に運動に親しむ機会として、月曜日から金曜日まで、曜日ごとに異なる内容の介護予防体操プログラムを行っています。さらに園内には、プール、トレーニングマシンなどを備えた「ドルフィン」という運動施設もあり、豊富な知識と経験を持つトレーナーが安全で効果的な運動をレクチャーしています。ドルフィン内でのスタジオレッスンも豊富で、私もたまに参加させていただくのですが、結構きつくてヘトヘトになります。ご入居者の方が上手で、平気な顔をされているんです。
事務局:日常的に楽しく運動に取り組める仕組みが色々ありますね。次に、社会的側面からのケアについては、どのようなものがありますか。
請川:代表的なのはクラブ活動です。ご入居者が自主的に取り組み、入居者同士のコミュニティを築いています。開設当初からあり歴史のあるコーラスや囲碁の他に、陶芸、折り紙、カラオケ、社交ダンス、ハワイアンフラダンス、パソコン、グランドゴルフ、手芸、麻雀、さらにはスポーツ吹矢など、バラエティに富んだ20以上のクラブがあり、活発に活動が行われています。今年の4月には、コントラクトブリッジクラブという新しいクラブができたのですが、これはトランプゲームの一種だそうです。多彩な趣味をお持ちのご入居者が多く、私たち職員も楽しく見守っています。また、当ホームは広くて施設が充実していますので、ロビーやラウンジでおしゃべりをしながら過ごす、喫茶室やビデオシアターへ行く、大浴場や図書館を利用する、売店で買い物をするといった日常の中でも、社会的な交流が自然と生まれています。
事務局:認知・精神・心理的側面からの介護予防活動としては、どのようなことに取り組まれていますか。
請川:ホームは皆さんの生活の場ですので、心配事や不満を抱え込まずに気軽に相談していただきたい、安心してストレスなく過ごしていただきたいと考えています。そのため、園長相談、副園長相談、生活相談、栄養相談といった、相談の機会を豊富に設けています。なお、私が担当する園長相談は月に2日あるのですが、必ずどなたかがいらっしゃいます。心配事を相談される方もいれば、ご意見、ご要望をいただくこともありますし、雑談で終わる方もいます。雑談も含め、ご入居者お一人おひとりとじっくりお話できるのはとても勉強になり、よい機会だと感じています。また、改まった場面でなくても、日常的にふとしたタイミングで相談を受けることもあります。例えば先日、スタジオレッスンのあとに、私があるご入居者と雑談をしている時に、「最近やせていっているのが気になる」と食事のことを気にされていました。このときは、栄養士からその方にお声がけをしていただき、お食事内容の見直しにつなげました。
また副園長は、看護師でもありますので、健康面の不安に関して相談されるご入居者が多いです。
-一人ひとりの個性や好きなことを尊重-
事務局:運営上特に力を入れている事項には、「その人らしさを大切にしたサービス」という言葉があります。一人ひとりに合わせたサービスを行うために、どのようなことを心がけていらっしゃいますか。
請川:当ホームは入居時自立ですので、ご入居者と職員は長い時間をともに過ごし、たくさんお話をしたり、いろいろな活動を共にして過ごします。そのような日々の中で、お一人おひとりの個性やご趣味などをじっくり把握し、好きなことをして思い思いに過ごしていただけるよう、サポートしています。
事務局:一人ひとりのご希望はどのように把握し、職員間で共有していますか。
請川:基本的に年に1回、お誕生日の月に訪問をして、今の状況や今後のご希望をうかがい、記録に残しています。また、個人の介護記録をご入居時から継続してつけて職員間で共有し、「この時期にこういうことがあった」「こういうことを喜んでくださった」など、日々の関わりから時系列に出来事がわかるようにしています。
事務局:介護が必要になったときも、お元気なときと変わらずに個性やご趣味を尊重されているのでしょうか。
請川:もちろん、「すべてそれまで通り」というわけにはいきませんが、自由に体を動かすことが難しくなっても、今までのことを継続して出来るようサポートし、なるべくお好きなことをして過ごせるように工夫しています。例えば、旅行が好きな方の場合、数ヶ月に一回は外出や旅行のお手伝いをしています。読書が好きな方の場合は、文芸雑誌を定期購読して楽しんでいただいています。ピアノが好きな方には、皆さんの前でピアノ演奏をしていただいたりもします。また、ご入居者同士のお付き合いを大切にしているため、介護居室に移ってもご入居者が行き来できるようにしています。
介護になってからもその人らしく過ごしていただくために、園全体で、職員もご入居者も関わりをもつよう心がけています。
お元気なときの姿を知っていることは、自立型のホームの大きな強みになっていると感じています。
事務局:最後に、請川さんご自身がご入居者や職員の方と接する上で心がけていることを教えてください。
請川:ご入居者に幸せに暮らしていただくためには、たくさん話してニーズを把握したり、意見を交換したりすることが欠かせません。また、よりよいサービスを提供するためには、上司や部下といった立場に関係なく思ったことを話し、アイデアを出し合うことが大切です。そのため、ご入居者とも職員とも、なるべくたくさん対話をすることを心がけています。なお、宝塚エデンの園は2026年から2031年にかけて、大規模な建て替え工事を予定しています。建て替えにあたっては、ご入居者、職員ともに期待と不安が入り混じる日々を送ることになると思いますので、園長として一人ひとりの声にしっかり耳を傾けていこうと考えています。
事務局:宝塚エデンの園では、ご入居者お一人おひとりとの対話を大切にしながらじっくり向き合い、心身ともに健やかに過ごしていただけるよう、サポートしていることがよくわかりました。これからもご入居者が「安心・安全に暮らせる」ホーム運営を期待しています。本日はお忙しいところお話をお聞かせいただきましてありがとうございました。
「宝塚エデンの園」 類型及び表示事項
類型 | 介護付有料老人ホーム(一般型特定施設入居者生活介護) |
居住の権利形態 | 利用権方式 |
入居時の要件 | 入居時自立 |
利用料の支払い方式 | 全額前払い方式 |
介護保険 | 兵庫県指定介護保険特定施設(一般型特定施設) |
居室区分 | 全室個室 |
介護にかかわる職員体制 | 2:1以上 |
【お問い合わせ先】 0120-87-1165 9:00~17:00(土・日・祝日を除く)
〒665-0025 兵庫県宝塚市ゆずり葉台3-1-1
※聖隷福祉事業団では、各所の有料老人ホームの取り組みを紹介する「ゆかり通信」という情報誌を発行しています。ホームページから閲覧もできますので、興味がある方はご参照ください。
職員体制
●職員体制(2023年7月現在)
介護師(常勤39名・非常勤28名)
看護師 (常勤4人)
週37.5時間換算で常勤介護職員45.6人・看護職員3.9人(うち、要介護者等対応は、介護士43.5名、看護師3.7名)
夜間(16時30分~翌朝9時30分)介護職員4名、最少時は介護職員2名
※夜間の看護職員は附属診療所所属の看護師が対応
理学療法士(常勤1人)
■協力医療機関 宝塚エデンの園附属診療所 ■運営 聖隷福祉事業団(園とは別に設置・運営)
■協力科目 内科、リハビリテーション科、整形外科、精神科
■協力内容 定期健康診断/年2回、簡易健康診断/月1回、健康相談、健康指導/随時、他の医療機関への紹介