当協会が、毎年「敬老の日」に向け公募している「シルバー川柳」の今年の入選作品が決定いたしました。今年で20回目を迎えた「シルバー川柳」は、10,663句が寄せられ、下記の20作品が入選しました。
男女比については男性が62%、女性38%と、昨年に比べて男性の割合が微増しています。今年は新型コロナウイルスによる生活の変化が川柳づくりにも大きく影響し、「マスク」「ソーシャルディスタンス」「リモート」といったキーワードを詠み込んだ作品が多く寄せられました。(公募期間:2020年3月1日~6月14日)
■第20回入選作品
※順不同、敬称略
○何をしにここに来たかと考える
安田三貴也(千葉県、79歳、男性、パート)
○脳トレを毎日してます探し物
大沢紀恵(新潟県、80歳、女性、主婦)
○ばあさんの手づくりマスク息できず
星野透(埼玉県、82歳、男性、無職)
○妻が言うひとまず預かる給付金
相野正(大阪府、70歳、男性、無職)
○テレワークやってみたいが俺無職
小畑和裕(東京都、73歳、男性、団体役員)
○ゴミ出しの俺とカラスは顔馴染み
田辺征夫(千葉県、73歳、男性)
○売ってない極楽行きのパスポート
石川昇(東京都、67歳、男性、無職)
○円満の秘訣ソーシャルディスタンス
荒木貞一(北海道、77歳、男性、無職)
○入らない母の入歯で騒ぐ父
あおちゃん(東京都、47歳、女性、無職)
○妻の留守たっぷり醤油寿司刺身
ハルル(東京都、70歳、女性、主婦)
○なぜ吠えるマスク姿の飼い主に
エル・ママ(熊本県、50歳、女性、介護関連)
○要請をされる前から日々休み
中川潔(福井県、55歳、男性、会社員)
○美男とか美女とかもはやどうでもいい
中平多絵子(高知県、45歳、女性、事務制作)
○我家では濃厚接触とんとなし
有藤幹男(高知県、70歳、男性、パート)
○耳鳴りもピーシーアールと音がする
加藤義秋(千葉県、73歳、男性、無職)
○じいちゃんの敵は段差とパスワード
岩﨑達也(福岡県、53歳、男性、会社員)
○頭頂部だけが見えてるオンライン
ロマン派(北海道、53歳、男性、会社員)
○幼な児に戻りて可愛い認知症
井上敬子(東京都、106歳、女性)
○グーグルの検索履歴に水戸黄門
合田幌生(広島県、14歳、男性、中学生)
○武勇伝俺の話は無観客
角森玲子(島根県、52歳、女性、自営業)
■応募状況
<応募総数>10,663作品
<応募者年齢>平均年齢:68.6歳 最年長:106歳(女性) 最年少:11歳(女子)
<応募者男女比>男性:61.4% 女性:38.1% 性別不明:0.5%
年代構成比において、65歳以上の応募が微増し(対前年+3.4%)、40~64歳の応募が微減(-4.3%)しています。男女比では、男性が62%、女性38%と、昨年に続いて男性の割合が伸びています。40歳未満の応募者は全体の5.2%と昨年より微増し、全体の割合からは少ないものの、シニア世代の様子を的確に表現した句が多く寄せられています。
■題材について
○新型コロナウイルスで、変わる毎日の暮らし
なんといっても今回は新型コロナウイルス感染症にまつわる川柳が多く寄せられました。題材別のデータでも全体の11.5%を占め、1位となりました(題材2位は「肉体、知力の衰え、老化」、3位は「子供、親、嫁など身内」)。
マスク、ソーシャルディスタンス、給付金、オンラインといった関連するキーワードをご自身の生活、人間関係に当てはめ、ささやかなユーモアを込めた作品が揃っています。
入選作:
ばあさんの手づくりマスク息できず
妻が言うひとまず預かる給付金
テレワークやってみたいが俺無職
円満の秘訣ソーシャルディスタンス
頭頂部だけが見えてるオンライン
要請をされる前から日々休み
○物忘れ、加齢ネタなど、自虐的な笑いも健在
物忘れなど、加齢に伴う川柳も健在です。ご自身の生活を自虐的に詠んだ作品から、親、祖父母の様子をユニークに描いた川柳など、体力や知力の衰えに対してシニカルに、あるいは親しみを込めて向き合う様子がいとおしく感じられます。
入選作:
何をしにここに来たかと考える
脳トレを毎日してます探し物
入らない母の入歯で騒ぐ父
じいちゃんの敵は段差とパスワード
○ますます「夫婦」ネタ、女性は「身内」ネタ。
新型コロナウイルス関連以外に、特に男性からの応募で多くを占めるのが定番テーマである「夫婦ネタ」。定年後の微妙な上下(?)関係や、妻の留守にささやかな自由を満喫しようとする様子など、こちらも自虐ネタが多く目立ちました。
入選作:
ゴミ出しの俺とカラスは顔馴染み
妻の留守たっぷり醤油寿司刺身
武勇伝俺の話は無観客